本 要約【ALIFE 人工生命より生命的なAIへ】岡瑞起 #578

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概要

「人工生命」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。人工知能(Artificial Intelligence:AI)ではなく「人工生命(Artificial Life:略してALife)」。人工知能が「人工的につくられた人間のような知能」であるとすると、人工生命とは「人工的につくられた生物のような生命」のことを指すといえます。人工知能研究者が、人間のような知能をコンピュータで実現できると考えているように、人工生命研究者は、自然の進化が生み出すような終わりのない(=オープンエンドな)進化をコンピュータで実現できると考えています。

著者 岡瑞起[オカミズキ]

研究者。筑波大学システム情報系准教授/株式会社ブランクスペース技術顧問。2003年、筑波大学第三学群情報学類卒業。2008年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より東京大学知の構造化センター特任研究員。2013年、筑波大学システム情報系助教を経て現職。専門分野は、人工生命、ウェブサイエンス、データサイエンス。人工知能学会にて「人工生命研究会」の主査。人工知能学会編集委員。人工生命の国際論文誌『Artificial Life Journal』アソシエイトエディター。(独)情報処理推進機構未踏IT人材発掘・育成事業プロジェクトマネージャー。人工知能学会「現場イノベーション賞」、情報処理学会「論文賞」「山下記念研究賞」など受賞多数。人工生命技術、機械学習、深層学習を使ったデータ分析・活用の研究を行う。大学での研究をベースに、新しい技術の社会実装に力を入れている

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ひろき:『alife 人工生命より生命的なAIへ』という本を紹介します。AIが直線的な考え方を超えて、失敗を許容しながら様々な案を探求できる点に可能性を感じました。政治や社会構造についても、今までの枠組みを超える新しいアプローチを提示してくれるのではないかと期待しています。例えば、ベーシックインカムの実現においても、AIが異なる方向性を提案できるかもしれません。

ソクラテス:AIが従来の枠を超えて新しい社会構造を提案できる可能性に注目しているようですが、AIが示す新しいアプローチには、どのような要素が含まれているべきだと考えますか?

ひろき:私は公平な社会の実現が重要だと考えています。現在、先進国の人々が出す二酸化炭素の影響で、最も苦しんでいるのは赤道付近の発展途上国の人々です。先進国の人々は満足した生活から抜け出すのが難しく、心理的バイアスも強いと思います。人間がこうした問題を考えると、結局今までと同じような解決策しか生まれないのではないかと感じています。

ソクラテス:確かに、人間のバイアスや慣れ親しんだ生活スタイルは、変革を妨げることがあるかもしれません。AIが新しいアプローチを提示する中で、どのように公平さを実現することが可能だと思いますか?

ひろき:私は世界政府のような存在が必要になるのではないかと考えています。全世界の人々が1人1票で投票できる民主主義が実現すれば、発展途上国の人々の声も反映される社会になるのではないでしょうか。例えば、G7やG20が指導しつつ、最終的にはAIが判断を行うという政治体系も考えられるかもしれません。

ソクラテス:世界的な民主主義とAIによる判断の組み合わせは、興味深いアイデアです。ただ、文化や価値観が異なる国々が共通のルールを受け入れるためには、どのようなプロセスが必要だと考えますか?

ひろき:各国の文化や歴史を尊重しつつ、協調することが大切だと思います。自分の文化や価値観を相手に押し付けることで、相手の幸福感を損なうことは避けなければなりません。この姿勢は個人レベルでも求められていると思います。自分の正義を押し付けることで、相手にとって負担になるケースが多いと感じています。

ソクラテス:その通りですね。AIが介入することで、新しいバランスが生まれるかもしれませんが、失敗を恐れずに早期に試してみる価値があるとおっしゃっています。AIをどの分野に導入し、どのような失敗が許容されると考えますか?

ひろき:今の段階でAIを導入し、まだ取り返しがつくうちに試してみるべきだと思います。AIと人間の能力差が大きくなった後では、制御が難しくなる可能性があるので、今のうちに一部の分野でAIに任せてみるのが良いかもしれません。そうしないと、将来的には『ターミネーター』や『マトリックス』のような世界になってしまう可能性もあると思います。

この議論を通じて、ひろきさんのAIや社会に対する視点が多面的であることがわかりました。AIの可能性を積極的に模索しつつ、未来に対するリスクを慎重に考える姿勢が印象的でした。このアプローチは、今後の社会にとって重要な課題に直面した際に、新たな解決策を見出すための一助となることでしょう。

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