本 要約【2100年の科学ライフ】ミチオ・カク #1454

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AIと思考実験してみた

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Q1: なぜ1500年には中国とイスラムが進んでいたのに欧州が支配したのか


中国やイスラム圏は当時、技術や知識の面で先端を走っていたにもかかわらず、ヨーロッパが最終的に世界を支配するようになった理由は、社会の開かれ方と競争の仕組みにあったと思います。特に中国やイスラム世界では、技術や知識が権威によって管理されやすく、火薬や羅針盤などを開発していても、それが広く展開される制度が乏しかった。一方でヨーロッパは国々が地理的に近く、互いに競争する中で、発明が軍事や経済に即座に活かされ、技術が加速度的に発展したんだと思います。閉じた文化と開いた競争社会の差が、長い目で見た支配力の差につながったと感じます。

Q2: 技術が広がった西洋と広がらなかった東洋の違いは?


西洋と東洋で技術が制度化されるかどうかの違いは、宗教や哲学の影響が大きいと思います。たとえばアリストテレスに代表されるような「人間は理性的である」という思想は、西洋社会において合理主義や個人主義の価値観を強め、それが研究や発明に対する積極的なインセンティブにつながったと考えています。特許法やベンチャー投資など、個人の才能を制度的に評価し資本に変える枠組みが形成され、それが技術発展を後押しした。一方で中国やイスラム世界は、儒教やイスラム法などの枠組みが技術の自由な応用を抑制していた面があり、そこが分岐点になったと思います。

Q3: 中央集権は技術発展の障害になるのか


はい、中央集権的な体制は、技術者にとって自由な研究環境を作りにくい構造を持っていると思います。イギリスのように、個人の発明が特許という制度によって保護され、資本につながる仕組みがあると、技術者は自分の探求心を活かして発明に没頭できます。でも、中国のように中央政府がすべてを管理し、技術を国家権力の道具としか見ない場合、個々の技術者は報われにくくなり、その結果として技術の広がりも遅れる傾向があったと思います。制度的なインセンティブが技術の行方を大きく左右すると感じています。

Q4: 中国は今も技術の自由がないのか


現在の中国は、過去と比べてかなり技術者にとって魅力的な環境になっていると思います。研究開発の予算はアメリカの半分程度ですが、14億人という巨大なデータを活かせる点や、倫理面の制約が比較的緩やかであることが、AIなどの分野では優位に働いているように見えます。研究者が自由に試行錯誤できる環境が整ってきており、アメリカが内部の分断や制度疲労で自滅していく中、中国がAI時代の覇権国に近づいているようにも感じます。倫理よりも結果を重視する構造が、短期的には強みになっているのではないでしょうか。

Q5: 倫理を無視して得られた技術は正当化できる?


短期的な倫理基準に縛られすぎると、かえって人々を不幸にすることがあると考えています。たとえば、デザイナーズベビーのようなゲノム編集技術は、今は非倫理的とされるかもしれませんが、遺伝病の予防や長期的な人類の幸福に寄与するなら、むしろ使わないことのほうが非倫理的だとも言えると思います。私は、「最長期間にわたる最大多数の最小不幸」という視点で、技術の是非を判断すべきだと感じていて、単に今の倫理観に合わせるのではなく、未来の人類にとっての利益まで含めて考える必要があると強く思います。

Q6: 功利主義で倫理を判断すると少数派は守られない?


確かに、多数派の利益だけを追求する功利主義にはリスクがあって、少数派が置き去りにされる可能性もあると思います。だからこそ、私はそのリスクを回避するための制度設計が必要だと考えています。政治家や経済学者、研究者たちが協力して、社会全体のバランスを取る制度を作ることが大事です。たとえば、京都議定書やパリ協定のように、環境問題に対する国際的なルールを作り、それを破った場合には罰がある仕組みが必要です。倫理の枠組みを制度で支えることで、少数派の権利も保護できると信じています。

Q7: なぜ国際制度は発展途上国に不利になりがちなのか


その原因の一つは、先進国が自国の都合に合わせて制度を作ってきたからだと思います。たとえば、環境対策では過去に大量に排出してきた先進国が責任を果たさず、途上国にばかり規制を求めるという不公平な構造が続いています。経済が悪化したとか、政権が変わったといった理由で国際的な約束を破っても罰がない現状は、制度の信頼性を損ないます。だから私は、発展途上国の主体性がもっと反映されるような仕組みが必要で、制度の設計自体を見直すべきだと考えています。公平さを担保するルール作りがカギになると思います。

Q8: どうすれば発展途上国が制度に主体的に関われる?


それを実現するには、制度の評価基準そのものを変える必要があると感じています。たとえば、鈴木健さんの『なめらかな社会とその敵』で提案されている伝搬投資型紙幣「PICSY」の考え方は面白いです。これは、個人や国の購買力を社会への貢献度とリンクさせるというもので、取引がそのまま人事評価になるという仕組みです。これを国際制度に応用すれば、先進国が途上国にどう貢献するかが評価され、その影響が自国の信用や資産価値に反映されるようになる。そうすれば、途上国も評価される立場として制度に参加でき、本当の意味で主体的な関係が築けると思います。

Q9: PICSYのような仕組みのリスクは何か


PICSYのような社会貢献に基づく通貨制度は理想的ですが、その価値を誰がどう評価するのかが大きな課題になると思います。もしその評価基準が不透明だったり、一部の権力者や技術者に偏っていたら、逆に社会の不平等を助長するリスクもあります。公平な評価を実現するには、アルゴリズムの透明性や評価基準の多様性、そして第三者による監視制度が欠かせません。私は、評価の自動化だけに頼るのではなく、そこに人間の判断を介在させる仕組みや、市民が関与できる民主的なプロセスを組み合わせることが大事だと考えています。制度を開かれたものにする工夫が必要です。

Q10: 技術と制度の未来はどこに向かうべきか


私は、これからの社会が目指すべきなのは「技術の公共性」と「制度の透明性」が両立した世界だと考えています。AIやゲノム編集などの先端技術は、倫理の境界を揺さぶりますが、それを一律に禁止するのではなく、最大多数の最小不幸という視点で運用できるよう制度を設計する必要があります。加えて、その制度が先進国だけの都合で動くのではなく、発展途上国を含む多様な主体が平等に参加できることが大切です。たとえば、PICSYのような評価基準や、取引が人事評価になる構造は、理想的なモデルになりうると思います。人類全体でどう幸せを測るかが、次の時代の鍵だと感じています。

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