本 要約【量子論はなぜわかりにくいのか「粒子と波動の二重性」の謎を解く】吉田 伸夫 #1428

3社会科学
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Q1: なぜ古典物理学では直感と理論が一致していたのか


古典物理学では、ニュートン力学などによって、五感で得られる現象が要素還元的に説明できたため、直感と理論が一致しやすかったからです。つまり、「見えるもの=理解できるもの」という構図が成り立っていたわけです。物体が落ちる、ものが動く、力が加わるといった現象を数学的に記述でき、それが観測と矛盾しなかったため、違和感がなかったのだと思います。私自身も、目の前の現象をバラバラに分解して理屈で説明することで納得できていた時代があったと感じています。だからこそ、その理論に従って世界を見ていけば大体のことは説明できる、という安心感があったのだと思います。

Q2: なぜ量子力学は直感に反するのか


量子力学では、粒子が同時に波の性質も持つという二重性があり、しかも観測のタイミングによってその性質が変わるという点が、人間の直感に大きく反するからです。私が一番おもしろいと思うのは、観測する前と後で結果が変わることです。たとえば電子がスリットを通る時には波のように振る舞うのに、観測した瞬間に粒子として確定する。これは、今までの「物体は一つの状態で存在する」という常識を大きく裏切るものです。だからこそ、量子の世界に触れると、世界の本質ってそんなに単純じゃないんだと気づかされて、非常に興味深いんです。

Q3: 世界そのものを見ていないとはどういうことか


人間は世界そのものを見ているのではなく、自分の感覚器官を通してフィルタされた情報を見ているに過ぎない、ということです。私たちは五感で得られる情報だけを頼りに世界を理解しようとしますが、それには限界があります。たとえば犬は人間より嗅覚が圧倒的に優れていて、コウモリはエコーロケーションで空間を認識しています。そう考えると、人間の感覚って実はかなり狭い範囲でしか世界を捉えていないんじゃないかと思うんです。つまり、私たちが見ている世界は「人間用に最適化された一部の現実」でしかない。それに気づいたとき、世界の真実を捉えるには別の視点や技術が必要だと実感しました。

Q4: 科学的理解にはどんな意味があるのか


科学による理解は、単に知的な好奇心を満たすだけでなく、人間の生活をより良くする技術の進歩に直結する点で意味があると思います。たとえば、コウモリのエコーを応用した技術は、障害物を感知するセンサーとして使われています。こういった異なる感覚を持つ動物の知見を科学に取り入れることで、人間の限界を超えたテクノロジーが生まれます。そしてその積み重ねが、貧困や不便を減らすことにつながっていく。私たちが科学を通じて世界を知ろうとするのは、より多くの人が豊かに暮らすための基盤をつくることでもあると感じています。

Q5: あなたにとって「進歩」とは何か


私にとっての進歩は、「不幸を減らすこと」です。単に豊かになるとか、便利になるというよりも、苦しんでいる人を減らすことの方が重要だと思っています。たとえば、飢餓や貧困に苦しむ人が少しでも減ることが、社会としての進歩だと感じます。これは「最大多数の最大幸福」という考え方にも近いですが、私は特に「マイナスを減らすこと」の方に重きを置いています。+10と-10では、同じ数値でも感覚的な重さが違いますよね。だから、まずはマイナスを埋めていくこと、底上げをすることが、本質的な進歩だと思っています。

Q6: なぜ損失を避けたくなるのか


人間が損失を避けたくなるのは、進化の過程で身につけた生存戦略の一部だと思います。たとえば、サンクコスト効果や損失回避バイアスといった心理的傾向は、過去に投資したものを手放しにくくする傾向があります。これは狩猟採集時代に、少ない資源をどう守るかが重要だったからこそ、身についた感覚なのではないかと考えています。明日食べるものが手に入るか分からない世界では、「今あるものを失わないこと」が生き延びるために重要だった。だからこそ、現代でも私たちはマイナスの可能性に過剰に反応してしまうのだと思います。

Q7: 現代ではその直感は逆効果になっているのか


現代社会では、損失回避の直感が逆効果になることも多いと思います。なぜなら、リスクを取らないことのリスクが高くなっているからです。たとえば、銀行口座にお金を預けるよりも株式に投資した方が長期的には安全という現象も起きていますし、日本のような国では生活保護といったセーフティネットも整っています。にもかかわらず、私たちは本能的にリスクを恐れて挑戦しない。それが逆に、他の人たちがリスクを取って先に行ってしまう原因になっていると思います。経済成長の果実を得られるのは、挑戦した人だけになってしまう現実があるんです。

Q8: なぜ人は挑戦しない選択をするのか


多くの人が挑戦を避けるのは、やはり損失への恐怖が直感に強く根づいているからだと思います。たとえリスクを定量的に説明されても、「失敗したらどうしよう」という感情が勝ってしまう。私もそういう不安を感じることがありますし、周囲にもそういう声をよく聞きます。でも、現代のように変化の激しい時代では、むしろ何もしないことが大きな損失になるケースが増えています。にもかかわらず、直感が「動くな」と命じてしまう。そのズレが、挑戦を妨げる大きな壁になっていると感じます。

Q9: 直感と現実のズレはどう修正できるのか


このズレを修正するには、自分の直感が過去の環境に最適化されていると理解することが第一歩だと思います。つまり、直感=真実ではないという前提に立つことです。私の場合は、行動経済学や心理学の知識を通じて、自分がどういうバイアスに影響されているのかを知ることで、判断が冷静になりました。実際、リスクを恐れずに動いたことで新しい可能性が開けた経験もあります。自分の直感を信じすぎないこと、そしてそれを乗り越える知識や行動を積み重ねることが、現実に即した判断を可能にするのだと思います。

Q10: 知識を増やすと人は行動を変えられるか


知識は確実に行動を変える力を持っていると思います。たとえば私は、トマ・ピケティの経済理論を学んでから、お金の流れや資本主義の構造をより深く理解するようになりました。それによって、貯金よりも投資に価値を感じるようになったし、挑戦することの意味も変わってきました。もちろん、知識だけで行動が変わるわけではありませんが、少なくとも「行動しない理由」が減っていくのは確かです。世界をよりよく見渡せる地図を手に入れるようなもので、それがあるからこそ、自分の一歩を踏み出せる勇気が生まれるのだと実感しています。

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