本要約【科学的根拠で子育て】中室牧子 #1017

概要
著者
非認知能力を育てる
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概要

教育や子育ては、短期的な成果よりも長期的な成果のほうが重要です。本書は、成績や受験といった「学校の中での成功」だけをゴールにはしません。学校を卒業したあとにやってくる、人生の本番で役に立つ教育とは何かを問うていきます。

著者

中室牧子
慶應義塾大学総合政策学部教授。慶應義塾大学卒業後、米ニューヨーク市のコロンビア大学大学院でＭＰＡ、Ｐｈ．Ｄ．（教育経済学）を取得。日本銀行等を経て、２０１９年から現職（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）

非認知能力を育てる

非認知能力を育てる

親の時間投資で得た3歳時点の認知能力は7歳時点で25〜50%になるが
非認知能力は70〜90%持続する
本の読み聞かせなど能動的な時間投資の効果は、幼少期に大きいが
年齢が上がるほど小さくなるため、基礎学力のふとり教育でなく、関心と経験を重視するhttps://t.co/kLVvFbRN6h
— ひろき@AIと思考実験してみた (@bluesbookblog) February 28, 2025

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Q1: 「科学的根拠で子育て」という本の中で、特に印象に残ったポイントは何ですか？

A: 非認知能力の重要性ですね。この本では、3歳時点の認知能力は7歳時点で25〜50%しか持続しないのに対し、非認知能力は70〜90%持続するというデータが示されています。本の読み聞かせなどの能動的な時間投資は、幼少期には大きな効果を発揮しますが、年齢が上がるほどその効果が小さくなる。だからこそ、基礎学力を太らせるような詰め込み型の教育よりも、関心と経験を重視した教育が重要だと考えました。

Q2: なぜ非認知能力の方が持続しやすいと考えますか？

A: 認知能力は、ある程度他の能力で代替できる部分があるからです。例えば、大人になってから新しい知識を学ぶことは可能ですが、幼少期に身につける「粘り強さ」や「協調性」は、後から身につけるのが難しい。脳が完成する前に、将来にわたって役立つスキルを育てるなら、非認知能力の分野にフォーカスする方が合理的だと考えます。

Q3: 非認知能力の中でも、特に育てるべき要素は何だと思いますか？

A: 協調性ですね。ビッグファイブ（誠実性・協調性・開放性・外向性・精神的安定性）の特性の中でも、協調性が特に重要だと考えます。社会人になっても、学校生活でも、協調性が高いほどスムーズに人間関係を築けるし、集団の中で良いポジションを確保しやすくなる。次に誠実性も大切ですが、まずは他者と適切に関わる力が基盤になると思います。

Q4: 幼少期に協調性を育てるために、親ができる具体的な行動は何ですか？

A: できるだけ多様な人と関わる機会を増やすことですね。同年代の子どもと砂場で遊ばせることも大事ですが、それだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんとの関わり、異なる国籍の子どもたちとの交流も重要です。例えば、インターナショナルスクールのような環境で育った子どもは、異文化に対する適応力や協調性が高まりやすいと考えます。

Q5: こうした多様な関わりの中で、親が意識的にサポートできるポイントは何ですか？

A: まずは機会の提供。そして、経験の解像度を高めるサポートです。単に「遊んできたね」ではなく、「どう感じた？」「どんなところが楽しかった？」と問いかけることで、子ども自身が自分の経験を振り返るきっかけになります。その中で、興味のあることを深掘りしやすくなるので、親はそれを後押ししてあげるといいと思います。

Q6: 子どもが経験から学んだことを言語化しやすくするために、親ができる工夫は？

A: 「なぜ好きだと思ったのか？」を一緒に考えることです。例えば、「ボール遊びが好き」と言っても、野球が好きなのか、サッカーが好きなのか、さらにサッカーのどの部分（蹴る瞬間、ディフェンス、戦略を考えること）が好きなのかを掘り下げることで、子どもの興味の本質が見えてきます。その情報をもとに、次の体験を提供していくことで、より適した方向性が見えてくると思います。

Q7: こうした深掘りをする際に、子どもの自主性を尊重しながら導くにはどうすればいいですか？

A: 親が「何になりたい？」と聞くのは、逆に子どもの選択肢を狭めてしまうリスクがあります。子どもは、自分が知っている職業の中からしか選べないし、一度言った夢に縛られてしまうこともあります。だからこそ、方向性を決めつけるのではなく、多様な経験の機会を提供し、子ども自身が興味を持ったものを選び取れる環境を作ることが大切だと思います。

Q8: 子どもが自然に多様な選択肢に触れられるようにするために、親ができることは？

A: 海外旅行や多文化体験など、できるだけ多くの機会を与えることですね。ただ、ここには金銭的な格差が関係してくるので、社会全体で格差を縮める仕組みも必要だと感じます。また、AIの発展により、認知能力の価値が下がっていくとすれば、より非認知能力に重点を置いた教育を国が支援することも重要になると思います。

Q9: 国や行政が非認知能力を重視した教育を進めるために、どんな施策が考えられますか？

A: 多くの人と関わる機会を増やすことですね。例えば、地域の部活動を活性化させ、おじいちゃん・おばあちゃんが子どもたちを見守る環境を作る。あるいは、文化祭や合唱コンクール、体育祭など、協調性やリーダーシップを育むイベントを増やすことも有効です。こうした機会を通じて、リーダーを経験する人を増やし、フォロワーシップも同時に学べる環境を作るのが理想的ですね。

Q10: こうした環境を整える上で、教育現場の教師の役割はどう変わるべきですか？

A: 教師にはより柔軟性が求められると思います。AIが発展すれば、勉強の指導は個別最適化され、パーソナライズされた教育が可能になります。その結果、教師の役割は「教える人」から「環境を整える人」へとシフトしていくでしょう。うまくいっていないグループに介入し、情報を整理して伝えたり、人間関係を調整したりする。まるで中間管理職のような役割になると思います。そのためには、コミュニケーション能力やファシリテーション能力など、新たなスキルの習得が求められるでしょう。